県議会 請求代表者 意見陳述

東京電力柏崎刈羽原子力発電所の稼働に関する新潟県民投票条例の制定を求める新潟県条例制定 請求代表者 意見陳述

(2013/1/21 13:30−14:10 新潟県議会)

齋藤竹規・松山 東平・小木曽茂子・千野正人・宮島雅子・宮尾浩史・石山拓朗・橋本桂子

(1/8 齋藤竹規)

「みんなで決める会」の共同代表 斎藤竹規です。よろしくお願いします。

私たち「みんなで決める会」は、組合や特定の団体等を背景に持たない、一県民たちが集まって作られた市民グループです。会の名前の“みんなで決める”とは、県民と議員と知事、みんなで新潟を創り、他都道府県にはない「全員で一丸となった町、県づくり」をしていこうという考えのもと名前が付けられました。その趣旨に、多くの方が賛同し、協力してくれています。

新潟県内の有権者では、2か月間で68,353人分の有効署名が集まりました。これに無効のものも含めますと、7万人以上の方が意志を表し、さらに署名の意志を示した未成年の方、我々の力不足で署名の機会を得られなかった方々、そして、カンパをしてくださった方も合わせると、実に10万人に近い方々が「みんなで決める会」に一票投じてくれたのです。これはとても重いことと痛感しています。

住民投票は、世界各国で行われています。イタリアやリトアニアでは原発に関しての国民投票が行われました。これはすなわち、イタリアやリトアニアは、国民が原子力発電所を自分たちのエネルギーとして使うか否かを判断できた、ということです。国が国民を信頼し、国民は自分たちの代表である議員を信用したからこそできたのです。

住民投票の実施の賛否は、県議の皆様が県民を信頼しているかどうかを表す公の機会です。そして、県議の皆様が住民の考えや意志を住民に代わって形に表してくれると信用できれば、投票率という数字で返ってきます。住民投票は、県民と県議の皆様が繋がっているかを、信頼しあえているかを確認する機会でもあります。我々は県議の皆様が県民を信頼しているかどうか、住民投票への賛否を非常に注目しています。
そして、福島第一原子力発電所の事故を見た私たちは、これほどまでに国民・県民の生活と安全に多大な影響を与えるエネルギー政策について無責任であったことをしりました。主権者である国民が、自分たちの使うエネルギーや日常の生活、生命の安全に責任をもつべく、住民投票という手法で未来の社会を共に創ろうと考えました。

知事と県議の皆さんが、県民と一緒になり、新潟をよりよく発展させられることを心より願っています。

(2/8 松山 東平)

新潟市在住の松山東平です。宜しくお願いします。持ち時間が限られており、メモ使用をお許し下さい。次の5つが私の論点です。

1.
原発の特異な点、それは暴走性です。即ち、原子爆弾の基本原理によるエネルギー発生装置が制御不能に陥る危険性です。さらに、爆発被害の甚大さとバラまかれる放射性物質の活性寿命が桁違いです。チェルノブイリ事故程には福島でならなかったのは、たまたまだったと、専門家達が述べてます。福島原発が被災した当時、米国専門家達の緊迫した動きにも、それが伺えます。
在日米国人の退去プランが大げさだと思った私は原発安全神話にだまされていました。神話の正体が暴かれるにつれ、反省し、今は県民投票運動をしております。

2.
エネルーギー政策には風力発電など様々な選択肢があり、脱原発のエネルギー策は、海外で現に実行されています。一方、国策とされてる原発稼働の見通しがなくなると、原発は厄介な不良債券となりそれに連鎖する金融関連企業が影響を受ける可能性があります。
でも、経済事情を優先し原発稼働にすれば、原発からの危険な放射性廃棄物が増える一方です。いずれにしろ、県民にとって一番大事なのは、やはり、人であり、それ支える自然環境です。それが被災したら、経済どころではなくなります。

3.
現在、我が国では原発存続が既得権化しており、何もしなければ、原発推進になります。県議諸氏は、原発推進による事故発生や、たまる一方の使用済み核燃料にどう県民に責任を取られるのでしょうか。
既得権化した問題の解決には先に述べた不良債券問題や原発稼働是非をフェアに県民に問うことが求められます。

4.
国策優先、党議第一で己の見解判断表明も自制されている県議グループは、私たち県民にも、意思の表明無用と主張されるのでしょうか。かように中央任せ、地方自立軽視に陥りがちな現状だからこそ、人権、民主、自由の精神を尊重し、新潟県民投票に踏切るべきと思います。

5.
県民投票は、現制度では民意表明の貴重なステップですが、稼働是非の最終判断は県議会での審議に委ねられます。なぜ、投票で民意確認後に議会で審議するのがダメなのでしょうか。

ご清聴ありがとうございました。

(3/8 小木曽茂子)

小木曽茂子と申します。私の住む原発から30キロ~50キロ離れた十日町津南地域でも、4500名もの住民が条例制定署名にサインしました。なぜかというと、原発のことを電力事業者、国の政治家、専門家と言われる人たちに任せておいては、自分たちのいのちや暮らしが守れないという危機意識からではないかと思います。
これまでの安全保障の政治システムが機能せずに、フクシマの現実を招いてしまったと直感しているのではないでしょうか。その政治システムの不備を補完するために、今後原発を動かすにしろ、止めるにしろ、新たなチェック機関として、住民投票の実施を求めているのです。
住民の声を大切にすることを、一部の政治家は、ポピュリズムと一笑に付すことがあります。しかし、どうでしょうか?3.11の地震、津波、原発事故を伝える海外のメデイアは、いっせいに、災害を受けた人々の冷静で秩序だった行動を賞賛しました。彼らが褒めたのは、決して東電や国の対応ではありませんでした。日本に住む人々は、正しい情報と機会さえ与えられれば、総合的に判断できる能力を持っています。
その能力を安全保障の新たなシステムとして組み込むことが、必要です。それはまた、あるいは廃炉の後の立地点の振興策について、あるいは再稼働時の安全保障について、これまでにないしっかりとした住民の参加が得られることに繋がっていきます。
署名をした保育士さんは言いました。「いざというとき、0才から5才までの子どもたちに、必要なよう素剤を安全に配分することができる方法を示して欲しい。」
介護施設のケアマネージャーは言いました。「いざというとき、100人もの歩行困難者をどんな輸送手段でどこへ避難させるのか決めておいて欲しい。」
人々はむやみに不安に思っているわけではありません。自分の社会的役割を果たすためにこそ充分な情報の開示と、議論を求めているのです。その上で、原発の稼働をどうするかみんなで決めたいと願っているのです。
3.11を経験して分かったことは、事業者はもちろん国も、レベル7の過酷事故に関して、何らの防災対策も持ち合わせていなかったという事実でした。
原発は万が一事故を起こしても、放射能を外に漏らすことはないと宣伝されてきました。そして万万が一多少の放射能が漏れてもそれは原発の5~10キロ圏内にとどまるものであるとされてきました。ですから原発防災計画はその範囲に限られていたのです。
しかし、現実は違いました。放射能は東日本一帯に広がりました。しかも、NHKスペシャルに寄れば、福島第一原発からたった4,5キロ離れた県立双葉病院でも、避難態勢が整わず、置き去りにされたり、移動途中で亡くなったり、寒い体育館で医療行為も受けられずに死亡した方がたくさんいたとのことでした。一方、原発から40キロ離れた飯舘村でも全村避難の方針が出され、家畜の全頭処分が勧告されました。私たちは思ったのです。
あれが柏崎刈羽原発だったらどうなっていたのだろう。中越沖地震がM6.8 ではなくてM9だったらどうなっていたのだろうと。

東電や国が出してくる安全対策に対して、県民ひとりひとりがそれでOKかどうか、確認をしたいのです。ダメなら再度やり直してもらう。OKなら、住民の監視体制を強化し、避難訓練を繰り返す。そうした体制を取る必要があると想うのです。
原発の稼動を認めないと結論が出たときのことを知事はいろいろ心配をしてみえます。しかし福島県は、「福島第一,第二原発の再稼働は認めない、このまま廃炉にするように」と県議会で採決しました。そのことについて泉田知事はどうお考えなのでしょうか?大事故の後ならそれは許されるのでしょうか?
私たち新潟県は、今、ビフォアフクシマ、フクシマ前夜であることを本県議会においても議論の中心に据えていただきたいと念願しております。

(4/8 千野正人)

「みんなで決める会」請求代表人の千野正人と申します。古町で、飲食店を営んでいます。いろいろな年齢層、いろいろな考え方の人がおめみえになります。
見ていて感じるのは、どうでもいい事は、意見が合わないのですが、大切なことはわかりあうことで意見が合う、ということです。

この度、県民投票実現のため、直接請求を行ったのですが、決して議会制民主主義を否定しているのではなく、命にかかわる大切な問題を県議の皆様だけに責任を押し付けるのではなく、県民一人一人と責任を分かち合い、ともに考える場になると考えたからです。

県民の信頼で選ばれた議員さんです。ぜひ県民を信頼していただけませんか。この問題は、今後、子供、孫、そのあとの代までつづく問題になると思います。
県議会議員としての生き方、生き様が問われることになると思います。今は投票率も低下し、政治に無関心の人が多いように感じます。県民投票が実現することで、
県民一人一人が学び、関心を持ち、責任を持つことになり、それが一人一人の自立につながり、新潟県にとって本当に大切なことは何か、みんなで考えることになると確信しています。

県民の自立に力をかしてください。チャンスを与えてください!県民投票が実現すると、全国初の試みになります。県民だけでなく、全国の人が注目していると思います。全国で一番最初に動いたのは、新潟県議会からだったと言われるように、新潟県、いや日本を変える立役者になってください!
歴史に残る県議会議員になってください!!

(5/8 宮島雅子)

三条市に住んでいる宮島雅子と申します。イラストレーターをしながら3人の男の子の母をしております。

このイラストは、私がこの原発県民投票のイメージキャラクターとして描かせてもらった男の子です。この男の子の表情には、原発に対する思いだけでなく、みんなの生活を自分たちで変えていきたいという願いと自分たちならできるんだ、という自信をたたえている、というイメージで描きました。

最初この運動を始める前の私は何かの意見を他人と議論することなど日常生活のなかでは到底考えられなかったし、あきらめていました。日々忙しい中で、わざわざ波風を立てずにいたい。だから意見は言わず、長いものに巻かれていよう。しかし、口をつぐんだその心の奥では言いようのないモヤモヤとした感情が残ります。

こんなままでいいのかしら・・・。私はこどもに、自分の考えを持とうよ、と言えるのかしら・・・。

この県民投票には、自分たちの生活は自分たちで考えていかなければならないという大きな意義があります。この意義が、まさに日々感じていた硬直感を変えてくれるものだと直感しました。

このイラストと共に私は昨年の夏さまざまな人達に出会いました。県民投票の活動をしている時は日頃体験し得ない出会いが沢山ありました。
署名の主旨内容を理解してもらうために、目と目を合わせて気持ちを伝えました。初対面の人に声をかけて、話しを聞いてもらうことは思った以上に大変で、理解していただくには様々な角度から伝えていく努力が必要でした。時には頭ごなしの反発があったり、否定的な意見もありましたがその意見にも耳を傾け、真摯な気持ちで穏やかに伝えるよう努力しました。そこで自分が変れたのを心から実感しています。同時に、同じ意見を持ち、広めたいと感じている人達が沢山いることも強く実感しました。

県民投票が実行されれば、県民自ら判断する権利を与えられます。それとともに、責任も生まれます。自分の頭で考えるようになります。議論を重ね、人と人とが繋がってゆくでしょう。当たり前のように偉い人にお任せしている社会に揺さぶりをかけ、自立した社会を作る新たな出発点にさせて下さい。

私達はもう、参加型自立社会という希望に向かって歩き出しています。始めから完璧なものなどありません。失敗を繰り返し、包み込んで形を変えながら理想に向かって進んでいく。そんな社会を共に創って行きたいのです。

(6/8 宮尾浩史)

新潟市北区で農業をしてる宮尾と申します。サラリーマンをやめて、農業をして18年になります。

私の友人で福島県相馬郡でリンゴと桃を栽培している畠利男さんという方がいます。畠さんのリンゴと桃の放射線量は検出下限値以下なのにお客さんが40%も減ってしまいました。今年の小正月に友達の誘いで小高町へ餅つきに行ったそうです。
震災直後の状態がまだそのままになっていて奥さんと二人で涙が止まらなかったそうです。「悔しい」と言っていました。
福島県の農業や観光業は放射線が高い低いに関係なく甚大な影響を受けています。

私の隣町の笹神の農家石塚さんのところへ、この条例案の話をしに行きました。県民投票は地域の未来を自分たちも関わって作っていくことつながるんだと理解すると、すぐに署名集めに奔走し、この人のところへも行ってみなといろいろな方を紹介してくれました。また、子育て真っ最中の若いお母さんや、孫がいるような年配の方々がこの署名集めを一生懸命してくださいました。自分たちの意思表示する場を与えてほしい、自分たちはもちろん、子や孫まで続く問題を、私たちも関わって一緒に考えたい。そういう声をたくさん聞きました。

18年 稲を育ててきて感じることは、稲は自分の子供である稲穂に蓄えてきたすべてをを与え、自らは土に返り、次の世代の栄養となる、ということです。
地球上に存在する生命の多くはこのような形で命をリレーしていると思います。私たち人間もまた、祖先や先人達が築き上げてきた土台の上に、今の社会をつくってきました。そして次の世代へとつなげていこうとしています。

私たちの親の世代は土地改良をし、機械化と肥料農薬で、農業を省力化し農村から都市へ人を送り日本をこんなに発展させてくれました。本当に感謝しています。
今その次の世代である私たちに課せられた大きなテーマは、100年も1000年も虫や鳥や魚や森と共に幸せに暮らせる持続可能な社会を創造していくことだと思います。

米や、酒や、魚、野菜、果物・・・県外から訪れる人はほぼ間違いなく新潟の食の美味しさに感動します。そして、米菓や酒蔵、食品加工業、またそれらをよそる器など、新潟の食と食に関連する産業は新潟が日本に、また世界に誇れる 宝物だと思います。もし県民投票をすることになったら、原発再稼働の議論をする中で県民一人ひとりがこうした新潟の宝ものの価値を確認し、どう継続し発展させていくのかということを考えることになるでしょう。

県民投票は、県議会や県議会議員の皆さんの存在を決して否定するものではありません。県民が議員の皆さんと共に未来を創っていく、パートナーとなる道だと思います。条例の不備は是非アドバイスしていただき良い修正を加えください。一緒に未来を創造していきましょう!
どうぞよろしくお願いいたします!

(7/8 石山拓朗)

新潟市在住の石山拓朗です。昨年の4月に仕事をやめ、事務作業を5月から9月まで行いました。
最初はですね、人、物、金はなく全て手弁当で開始しまして。事務所と言ってもアパートの一室で一から作り上げていったんですよ。まさに苦労の連続、一日一人いるかいないかの人数で、署名簿やチラシにポスターの手配、署名簿の発送や支払いまで齷齪した毎日でした。
8月になっても人、物、金に加え署名までも集まらなくてですね。これはまずいと、皆が一丸となって説明会、電話、手紙の送付等を行ったところ、多くの方、主に主婦の方が活動に参加してくれたこと、多くのカンパをいただけたことで事務作業を円滑に行うことができ規定署名数達成の後押しとなりました。
この署名は個人の想いです。党としてではなく個人としての答えをだしていただきたい!

もう一点、、、私が参加した理由はですね、311の震災、312の原発事故後に関心が持続していない周囲の反応でした。このままではいけないと思っていたところ、県民投票にであいました。皆さん!実現すれば柏崎刈羽原発を通じて、地元住民、地域経済、被災地、福島第一原発のことまで興味を持つと思いませんか?
私は身近な暮らしを変えられる政治に無関心のままで社会、経済がよくなるとは思えません!県民投票を通じ、皆が新潟に興味をもち、政治に興味をもつ、次の世代が親の背中を見て興味をもつ、無関心にさせるようなつまらない政治を行わないようよろしくお願いします。

以上で終わります。ありがとうございました。

(8/8 橋本桂子)

「みんなで決める会」の共同代表の橋本桂子です。意見陳述人としては最後に発言させて戴きます。よろしくお願いいたします。

まずは、今一度、あらためて…。県民の皆様、泉田知事、県議会議員のみなさま、総務管理部市町村課、並びに防災局原子力安全対策課、その他の部局の皆様、議会事務局の皆様、県内37市区町村でご担当くださったみなさま、そして県内外の報道関係者のみなさま、皆様のご協力のおかげで、条例制定のための直接請求の手続きを無事に進め、本日ここに、臨時会にてご審議戴ける運びとなりました。
わたくしたちの市民の活動に対し、みなさまが本当にきめ細かく、誠実にご対応下さいましたおかげと、心から感謝を申し上げます。

ここに至るまで、「県民投票」を実現させたいという思いだけで、本当にゼロから、信頼だけで多くの方々と繋がって動いてきた活動でした。脱原発の声が高まる中、原発をテーマにした住民投票の活動は、ご理解戴くのが難しく、活動の本義を違えずに周知することは大変な困難を伴いました。

「原発」の問題は、エネルギーの問題だけでなく人権の問題です。「県民投票」の原点はここにあります。

柏崎刈羽原発の稼働に賛成のひとも、反対のひとも、わからないと言うひともいます。いずれかの意見にだけ目を向けて決めようとするのではなく、まずは、同じ新潟県民として、皆、それぞれの立場があり、さまざまな考え方のあることを尊重し合うことが大事です。だからこそ「県民投票」は有効な方法なのです。

県民みんなで意思表示の機会をもち、県民自らの命と安心・安全の暮らしに関わる重大な問題…即ち、柏崎刈羽原子力発電所の問題について、県民みんなで共に考え、分からなければ相談をし、対話を重ねる中で見識を深め、学び、そしてみんながひとりひとり判断し、「選択」をする。真の民主主義は単純な多数決ではなく、このような、尊い、ひとりひとりの自立的「選択」の集積です。これをこの新潟県で実践し、わたしたち県民が主体的に新潟県の未来に対して責任ある判断を示したい。これが原発新潟県民投票の「本義」です。
柏崎刈羽原発を稼働するか稼働しないかを判断する時、国の原子力規制委員会や、県技術委員会その他から示される基準のほかに、大切な判断材料のひとつとして、新潟県民の「民意」を、「県民投票」を、採り入れてください。

「信頼」だけでつながる仲間たちと共に、たくさんのみなさまのご理解とお力添えを得て、まさに信頼を紡ぐようにして活動を進めてまいりました。その出発点は「直接請求」というかたちで、主権者であるわたしたち県民が、県と県議会に対し「県は、県民の民意、声を聴いてくれる」と信ずる「信頼」から始まりました。
原発は国策であり、県議会で審議されるべきものではないとのご意見もあります。しかし、福島第一原子力発電所の事故後の福島県と、福島県民の皆様の有り様(ありよう)を見れば一目瞭然です。「国策」といっても、ひとたび過酷事故が起これば、それは県の問題となり、県民の問題となります。

県民投票は、原発そのものの是非を問うのではなく、私たちの暮らす、新潟県にある柏崎刈羽原子力発電所の稼働の是非について県民が民意を表明する機会を求めるものです。本県議会に於いては「県民投票」という「県民が民意を表明する機会」について、これを認めるか認めないかについてご審議頂きたく存じます。

泉田知事。泉田知事は、原発新潟県民投票の条例案について「意見書」を添えて付議なさいました。知事は「みんなで決める会」との面談で、県民である私たちの”思い”を「重く受けとめる」とご発言くださいました。そのお言葉のとおりの、県民の命と安心・安全を守る知事としての責任感と誠意の尽くされた「意見書」だったと感じております。

それは意見書の7番目の項目に顕れていました。問題の列挙にのみに留まらず、条例案に対する修正ポイントがあたかも扉を開くための鍵のように綴られていました。これを以てわたしたちは、泉田知事のご意見は「条件付きの賛成」であると解釈いたしました。知事が「意見書」で挙げられている問題点。それは、県民投票条例に関する問題点としてのみならず、現在、わたしたちが直面している多様な原発をめぐる問題点そのものの指摘でもあります。

福島第一原子力発電所の事故後、本当に多くの様々な問題が露呈しました。まさに『パンドラの箱』の状態です。…ありとあらゆる災いが噴出した後、「パンドラの箱」の底にたったひとつだけ残っていたもの…それは「希望」だったと言います。わたしたち県民は、その希望を絶対に捨てることなく、こうして自分達に出来ることを出来る限りの力を集めて進んでまいりました。

新潟県議会には、私たち県民の「希望」であってほしい…わたしたち県民は、新潟県議会議員のみなさまおひとりおひとりを選挙で信任した時と変わらぬ気持ちで、今ここにおいても信頼し、熟議とその公開を求めます。本議会に於いて「民主主義」が真の意味で肯定されることを望みます。

最後に、新潟県のエネルギーについて持論を述べます。わたしは、新潟県で最も大切にされるべきエネルギーは「ひと」だと考えています。ひと、つまり県民の活力こそが明日の新潟をつくります。「県民投票」をすることは、県民が、県と議会から、信頼のもとに意見を求められるということでもあります。
県政を進める上で、知事と県行政と県議会と県民とが協働し、信頼の連鎖の中でこれからの新潟県をつくってゆけたら・・・。「県民投票」をした後の新潟県で、その効果は計り知れないものとなるでしょう。

新潟県が自立型地方自治を実現してゆく大切なエネルギーとして、泉田知事、県議会議員のみなさま、わたしたち県民を信頼してくださいますようお願い申し上げます。

5 Responses to “県議会 請求代表者 意見陳述”

  • 堀井修 より:

    前からの計画で今日北海道から帰りました。
    素晴らしい陳述です。感動しました。
    ただ議会では否決とTVで知りました。
    めげずに頑張りましょう。
    自民は国が決めることと言っていますが。
    私たちが被災するの国が決めることですかね。
    腹が立ちます。

  • 黒岩秩子 より:

    読みごたえありでした。8人がそれぞれ分担して意見を言い、最後に橋本さんが、感動的な[〆]をしてくださいました。

  • 黒岩秩子 より:

    読みごたえありでした。皆さんがそれぞれすみ分けて意見を言っておられます。そのチームワークに感動し、橋本さんが最後に閉めてくださった「ひと」「きぼう」に皆さんとともに感動しました。

  • 中山ひろむ より:

    ご苦労様です。今日議会傍聴に行きます。

  • 服部泉 より:

    どの方の意見陳述も、県民投票の本質を描きだし、それぞれに思いのこもった素晴らしいものでした。壁にふつかるたびに、真摯な意見を交換しあって乗り越えてこられた皆さまに心より拍手を贈ります。


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