住民投票のその先に待っているもの

イギリスからの独立を巡って、スコットランドで住民投票が行われ、日本の報道でも大きく取り上げられましたね。
「自分たちのことは自分たちで決めたい」という住民投票の基本は同じですが、日本の住民投票とは微妙な違いもあります。
 スコットランドの住民投票の結果は結論と直結していますが、新潟で「みんなで決める会」が直接請求した「県民投票」は政治的な決定権(=拘束力)はないのでした…日本では住民投票の中で拘束力があるのは国民投票だけなのです。
 ですがどんな住民投票も、結果が出れば、自分の支持した結果になった人と、思う通りにはならなかった人が生じるのは同じです...。それを「勝者」と「敗者」という括きをすることに、少し違和感を感じたりもします。
 住民投票という民主主義の手続きを「数によるパワーゲーム」にしないためには、住民投票をした後の対応こそが重要です。
 そもそもの問題の本質について、投票結果を踏まえて、更に相互の視点で考え議論すること。そして実際の施策に反映させることが大切です。その取り組みが出来た時、住民同士は分断や「勝者・敗者」の括きを免れ、初めて住民投票が民主主義的な手続きとして有効になるものと思います。
記事にはキャメロン首相が既に打ち出した提案(しかもスコットランドだけでなく、他の地域でも自治権が大幅に認められることになるようです)が紹介されています。これらが誠実に実行され、地方としての不満が解消された時が、今回の住民投票が実を結ぶ時なのだと思います。

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[ロイター:記事内容]
『スコットランドが独立否決、「権限移譲進める」と首相』
(2014年 09月 19日 18:25 )
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0HE0XF20140919


 9月19日、前日に実施されたスコットランド独立の是非を問う住民投票では、反対票が50%を上回り、独立が否決された。[エディンバラ 19日 ロイター]

18日に実施されたスコットランド独立の是非を問う住民投票では、反対票が50%を上回り、独立が否決された。

キャメロン英首相はイングランドを含む英国全体にとってバランスのとれた合意につながる結果との認識を示し、スコットランドへの税制や歳出の権限移譲に向け、英国全体にも配慮し各党の公約も履行するための憲法上の決定を進める意向を示した。

その上で、スコットランドへの権限移譲に関する法案を来年1月までに公表する方針を明らかにした。

首相は記者団に対し「われわれは良く考えた上で達した、スコットランドの人々の意思を聞いた」と指摘。その上で「スコットランドが税や支出、福祉に関する自らの問題をスコットランドの議会で独自に採決するようになるのと同様、ウェールズ、北アイルランドだけでなく、イングランドもこれらの問題について採決できるようになるべきだ」と述べた。

首相はまた、独立反対派リーダーのアリスター・ダーリング氏に祝意を示した。

クレッグ副首相は「非常にうれしく思う」と述べ、英国全土で憲法改正を進める方針を示した。

一方、スコットランドの独立賛成派のリーダーであるサモンド・スコットランド民族党党首は支持者を前に「スコットランドの人々は現時点で独立をしない決定をした。それを受け入れる」と述べ、敗北を認めた。その上で、英国への残留が決定した場合にスコットランドの権限を拡大するという約束について「迅速に履行されることを期待している」と語った。

スコットランド民族党のスタージョン副党首は、独立が僅差で実現せず失望した、と述べた。

独立支持派は最大都市グラスゴーなどで優勢となったが、他の選挙区で十分な票を得られなかった。

今回の住民投票では、有権者の97%に相当する428万人が投票手続き登録を行った。投票率は過去最高となった。


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