原発立地地域住民の「防災」意識

4月9日に『東京電力柏崎刈羽原発の透明性を確保する地域の会』の『第130回 定例会』がありました。
「地域の会」の委員は地元住民ですが、どの委員さんも原発について知識を身につけそれぞれの視点で疑問に思ったことや意見などを発言します。
今回の主要なテーマは「防災」。立地自治体に暮らす住民同士、推進派も反対派も「防災」に関して意見に相違はないと実感しました。*下記は発言の内容の概略です。

<印象的だった質問>
Q 県は「技術的なことは技術委員会で…」と言いながら、フィルターベント(FB)の性能と避難計画の事故想定時間を、知事の”鶴のひとこえで”25時間,18時間→6時間に変更して提案した。県の意思決定の仕方に問題は無いのか?
また、東電が想定する25時間、18時間の根拠はなにか?
A (県:原子力安全対策課 井内さん)
県の技術委員会の時点で、より厳しい想定を検討するものとしていた。
A(柏崎刈羽原発所長 横村さん)
電源喪失後、予備電源の設備が使える場合は、なんとか頑張って注水すれば、FB使用まで25時間。予備電源の設備が使えない場合、FB使用まで18時間という想定。
事故が起こらないという想定をせず、より厳しい状況を想定している。

Q もっと厳しい状況だってあり得る。即時避難区域(PAZ)の2万人の住民を本当に逃がす気はあるのでしょうか? もしその意志があるのなら、県や市や村はそれぞれどのような対策をとろうとしているのか教えてほしい。稼働していなくても事故はいつでも起こりうる中で、福島原発の事故から3年経ってもまだ柏崎刈羽の住民を守る対策が出来ていない。立地自治体の住民を蔑ろにしているのではないか…? 早急に対策をすすめてほしい。
A(敢えて、県市村に回答を求めず、新野会長からのコメント)
オブザーバーの皆さんは相応の肩書のある方ばかりで発言は重いものになります。この場ですぐに答えられる内容ではないでしょうし、地域の会のみなさんのお顔を拝見するに…なんとも”にやにや”といいますか…みなさんお分かりのことといいますか…。今の質問を承けて、ご出席のオブザーバーのみなさんには、各担当部署へ持ち帰っていただいて、「地元の声」としてしっかり上に伝え、今後の対応につなげるようお願いします。

Q FBは結局、原子炉を”爆発させないため”に「住民のみなさんにはちょっとだけ被ばくしてもらいますよー」という設備。納得がいかない。規制庁の説明によれば、FBそのものが必須の設備なのではなく、必須なのは「原子炉の爆発を回避するための設備」であるとのこと。その対策例が、一例しか(=FBしか)提示されていないのはおかしいのではないか? 各電力会社は、FB設備さえ取り付ければよいと思ってしまっているのでは?? FB以外にも、住民を被ばくから守る対策や設備が規制委や規制庁から提示されるべきではないのか?
A(原子力規制庁 柏崎刈羽原子力規制事務所 所長 内藤さん、原子力防災専門官 山崎さん)
コレとコレとコレというふうな具体的な設備をここで挙げることはできないが、諸外国には、FB以外の設備をつけている原子力発電施設がある。(*どんな設備なのかは言及されませんでした) また、FB設備については、各社(←FBメーカーなのか電力会社なのかは不明)で性能に差があるようだとも聞いている。

Q県が方針を示さないから市村が対策が立てられないという意見をよく聞くが、長岡や小千谷は現にやっているわけで、柏崎市も避難訓練を実施できるのではないか?
A(柏崎市の担当者)
現実に避難するとなった場合に避難が難しいとされる、要支援者や要介護者について、データで把握するのではなく、実情を調査したい。

<印象的だった意見>
●即時避難区域(PAZ)は5キロ圏内だが、自分の家は原発から6キロの場所にあり、とても複雑な気持ちがする。誰でも直ぐに逃げたい気持ちなのに、それをこらえて「屋内退避」するということは今の状況では難しいのではないか。市民に「屋内退避」について十分に認識を広める必要があると思う。
●課題は、やってみないと分からない。課題を見つけるために何度でも訓練をしたらいい。
●即時避難区域(PAZ)の2万人の市民が避難するなんて出来ないんじゃないかって、薄々みんな思っているのでは…? 原子力災害時の避難について「これは出来ない」という事については、率直に市民に情報を公開してほしい。市が出来ないって言えば、市民は自分たちでなんとかしようって動くことができる。
●規制庁が、原子力防災計画に、事故後の補償などの対策を含まないのはおかしい。
●福島の原発事故の被災者を見ていて思うことは、わずかな賠償額では生活再建が出来ないということ。避難計画や防災計画だけでなく、原発事故の補償制度をもっと変えてもらわないと、住民は安心などできない。原発推進派の自分ですらそう思う。

*地域の会の詳細
http://www.tiikinokai.jp/area/index.html


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